日本では何と呼ぼうか
このページは日本での呼び名についての少し独断的な検討です。日本にも「ロータリー」に変わる新しい言葉が必要です。
日本では、いわゆる円形交差点のことをロータリーと呼びますが、道路構造改革によって、英語で言う roundabout(ラウンドアバウト ・ ランナバウト)、フランス語で言う rond-point(ロンポワン) と呼ばれるものを導入するにあたって、「ロータリー」に代わって普遍的に使われる名称を考えなくてはなりません。それは、ロータリーとそれに似た近代的なものとが、全く違ったものであると認識してもらう必要があるからです。
最近では、諸外国の現代的なものも一緒くたにロータリーと呼ばれることがありますが、 これを放置していてはなりません。名称がロータリーのままでは、日本に近代的なものは導入できません。新しい名称が必要なのです。
それぞれの国の事情と必要性
イギリスやフランスなどは、それぞれ roundabout や rond-point を自ら革新し発展させてきたためか、旧来的なものと現代的なものとで名称の区別はされていません。(例:パリの凱旋門のあるエトワール広場の古くて特殊なものも最新のものも rond-point )
しかし、米国では違います。かつて rotaryや traffic circle(ロータリー、トラフィックサークル)が取り入れられた時代があったのですが、発展はそこで止まっていました。 1990年代に、ヨーロッパやオーストラリアに学んで、構造などが近代的なものを遅れて導入するにあたって、旧来のものと区別して呼ぶ必要性から“roundabout”を使うようになりました。さらに(おそらくイギリスにある古いタイプのものと)明確に区別するために、Modern roundaboutsと呼ぶ場合もあります。米国でも roundabout という単語は使われていたのですが、道路構造の意味では使われていなかったのです。
日本ではどうでしょう。旧来のものが各地に存在し、それを表す言葉として、英語を元にしたロータリーという言葉が普及していています。この状況で、米国よりも遅れて、かつてロータリー呼ばれたものとは違い、名称も変えられているものを導入するわけですから、日本での名称がロータリーのままであってはならないことは明白です。
さらに別の理由もあります。日本では旧来の交差点としてのロータリーだけでなく、建物の正面玄関や駅前で、タクシーやバスなどの自動車が停車している空間もロータリーと呼ぶため、これらとも完全に区別しなくてはらないのです。
カタカナによる名称は「ロンポワン」とします。
roundabout、rond-pointの導入にあたって必要な「ロータリー」に代わるカタカナ名称ですが、この後の検討により、現時点では、米語での“Modern roundabouts”または“roundabout”に相当する、近代的なものをカタカナで呼ぶ場合は「ロンポワン」とすることを提唱します。
また、米語で“rotary”“traffic circle”(ロータリー、トラフィックサークル)と呼ばれていて、日本にも現存する旧来のものは従来通り「ロータリー」と呼ぶことにします。
このサイトでも、カタカナで表記する場合は、特記がある場合を除いてこの呼び方で統一しますのでこのことを記憶に留めておいて下さい。
ここから下は、検討の過程を書いたものであり、
必読項目ではありません。
それでは検討に入ります。
まずは、カタカナによる名称です。外来語というと英米語になりがちですが、いわゆる円形交差点を多用している他の国の言葉も候補にして、発音やインターネットでの検索可能性も考慮して検討してみます。
スペイン、イタリア語では rotonda (ロトンダ)と呼ばれていますが、建築の分野でも使われているため避けた方がよさそうです。フランス語の、rond-pointは、まさに本場といえる国の1つであり、最も美しく使いこなしていると思える国で使われている言葉として候補にして、roundabout と rond-point で、どちらがよいか検討してみたいと思います。
次に、漢字での名称についてですが、例え道交法の文章にロンポワンと書かれていても特に問題はないともいますが、やはり日本語としての名詞を考えておく必要もあると思われるのでそれも検討します。
カタカナの場合
roundabout(ラウンドアバウト ・ ランナバウト)のインターネットでの検索可能性と発音
- こちらで“Roundabout”の発音が聞けます。
- ・Merriam-Webster Online Dictionary □
- ・yourdictionary.com □
- ・Excite 新英和中辞典 □
まずは右のリンクから発音を聞いてみてください。そうすると、カタカナにすることがかなり難しいことが解ると思います。
それでもむりやりカタカナで表記すると、ひどい表記揺れが起こってきます。右下にあるグーグルでの検索結果を見て下さい。
ランナバウト | 62,200 件 |
ラウンドアバウト | 45,800 件 |
ラウンダバウト | 576 件 |
ランドアバウト | 356 件 |
ランダバウト | 213 件 |
ランダバード
これから日本で普及させるにあたって、インターネットでの検索可能性を考慮することは重要です。例えば新しい情報を検索しようとした時に、roundaboutのカタカナ読みはすでに旅行記や楽曲に関する記事などでかなり使われているため、検索性に劣ります。
発音に関して言えば、日本人にとって日常的に使う時に言いにくいだけでなく、カタカナ読みでは正確な発音にほど遠くて通じないでしょう。それなら英語である意味はないですし、そんな言葉をこれ以上氾濫させることは好ましくありません。 (始めに小さなゥの音が聞こえますが、おそらくこの音は重要で、日本語の発音でラから始めると全く違う言葉に聞こえるのではないでしょうか。)
rond-point(ロンポワン)のインターネットでの検索可能性と発音
ロンポワン | 856 件 |
ロンポアン | 119 件 |
発音に関しては、英語と同様にフランス語をカタカナにすることも所詮無理があるのですが、ツール ド フランスの実況などでも、ほぼ、ロンポワンと聞こえます。本当は「ロ」は「ロ゛」とでも書くような別の音なのですが、ササッと言ってしてしまえば、カタカナ読みでもおそらく通じます。実際、現地でたまたま会話をした人に、特に発音を意識しないで話しても通じましたので、ラウンドアバウト ・ ランナバウトと比較すると通じやすいでしょう。また、簡潔で言いやすいです。
ロンポアンは「ポ」の後に「アン」を続けるとはっきりしすぎて違ってくると思うので除外しますが、「ロンポワン」と「ロンプワン」はほとんど同じなのでどちらがよいのか悩むところです。
検索可能性で考えてみると、ほとんど使われていない「ロンプワン」をこれから増やすのがよいともいえますが、「ロンポワン」の検索でヒットする既存のサイト数が900件程度しかなく、これから増やすようなものだと考えることもできます。
これまで藤田兄弟がロンポワンと呼んできた、という独断的な誘導もあるのですが… ロンプワンはgoogleの検索結果があまりにも少なすぎて気持ちが悪い。どちらかというとロンポワンと聞こえる。これらのことから「ロンポワン」を採用、としておきます。
本当は、「ロンポヮン」も良いと思うのですが、「ヮ」が、キーボードから直接入力できず、「わ」を変換しなくてはならない変わった文字であるため今のところ外しています。
皆さんはどう思われますか。ご意見があれば伺いたいです。
カタカナの名称の結論
ここまで、roundabout、rond-pointの導入にあたって必要な「ロータリー」に代わるカタカナ名称を検討してきました。
1つ検討要素を加えると、古いタイプが区別されているか?という点がありますが、“Modern roundabouts”と呼ばないかぎり、“roundabout”“rond-point”ともに区別されていないので優劣はありません。
他にも考える要素があり難しいところですが、インターネットでの検索可能性と発音の点から、最終的に現時点では、米語で“Modern roundabouts”または“roundabout”に相当する、近代的なものをカタカナで表記する場合は「ロンポワン」とすることを提唱することにしました。
また、米語で“rotary”や “traffic circle”(ロータリー、トラフィックサークル)と呼ばれていて、日本にも現存する旧来のものは従来通り「ロータリー」と呼ぶことにします。
漢字の場合
すでにロータリーやロンポワンの日本語として使われている言葉には主に次の4つがあります。
環状交差路、環状交差点、円形交差路、円形交差点。
もし、既存の言葉を使用するなら、円形交差点がよいでしょう。環状という言葉は道路で他に使うので紛らわしいですし、交差路よりは交差点です。しかし、新しいものを導入するにあたって、この際ですから、明治大正時代のように新しく言葉を創った方がよいと考えます。その理由は次の通りです。
- 既存の名称は、旧来のロータリーに対するイメージと同等であり、そのイメージがどうしてもぬぐいきれない。 カタカナでの名称がロータリーのままであってはならないように、漢字の名称も新たにしたい。
- 道路どおしを交差させずに結節するものであるのに、交差という言葉が使われていることに違和感を感じる。
- 西洋の諸言語を見ても交差という概念が含まれていない。(これは、新しく漢字での表現を考える場合のpointでもあります。) ただし、中国語では「“王ヘンに不”形交叉」が使われていて、交差(交叉)が含まれている。ただ、他にも、“王ヘンに不”形道、という言葉もある。
- 日常的に使うには硬すぎる気もするし、少し長いので、もっと短い言葉にしたい。
- 新しく書かれる文章から表記揺れをなくしたい。
環点 = カンテン 同音語が比較的使われる言葉と重なっているので不採用(観点、寒天…)
円点 = エンテン rond-point の直訳1、同音語あるが問題ない(円転、炎天…)
円形点 = エンケイテン rond-point の直訳2、同音語なし。
仮に道案内で使うとして、「もう少し行くと【○】があるから、そこを右に行ってください。」と言うとしたら、どちらが話しやすいでしょうか。エンテンはロンポワンと語呂が似ていて意外とすんなりはまっているように感じます。エンケイテンはすこし言い難さを感じます。いずれにしても、始めは違和感を感じるかもしれませんが、慣れれば問題ないでしょう。
しかし、ちょうど「ハザードランプ」と「非常点滅表示灯」の関係のように、日常会話では通称として「ロンポワン」を使い、道交法や公式的な堅めの文章では漢字の言葉を使うことになるかもしれませんので。その場合はエンケイテンがよいでしょう。
漢字の名称の結論
今のところ未決としておきます。ご意見や、他に良い名称があれば是非とも提案して下さい。