「譲れ」が無いことは道路がまっとうでないことの象徴
Page 1譲れとは何かを知ろう
譲れという規則と標識は、多くの日本人にとって馴染みがないものだと思いますので、まずは基本から説明しましょう。(嗚呼、何と情けない国だこと!)
規則と標識の意味
フランスのミシュラン社が発行する CODE ROUSSEAU de la route ( 教本と交通の教則を合わせたようなもの) によると。基本的な意味は以下の通りです。
指示された場所で一時停止する義務はない。ただし、道を譲るために必要ならば一時停止しなければならない。
この標識が設置されている場所には、「止まれ」標識と停止線の関係と同じように、強調された白い破線によって、車線の境界線が引かれています。
いくつかの国では、この線に、英語の表現でシャークトゥース(鮫の歯)といわれる、サメの歯形の白い境界線が使われています。
写真はベルギーの鮫の歯形境界線です。
どこに設置されるのか
片方に優先権があり、もう片方は譲れとなっている丁字交差点で、150m先に譲れがあることを予告する標識もある非市街地道路の例です。
(このページでは、優先側の標識は省略してあります。)
止まれも譲れ?
予告標識がSTOP150mとなっています。
STOPの交差点なのに、なぜ譲れ標識があるのだろう、と思いませんか? その理由は、何のために一時停止をするかを思い返せばわかります。
そう、きちんと道を譲ることができるように、しっかり確認するために、止まるのです。
- きちんと譲るためには、
- ・優先権を侵すおそれのある他の交通が無いことを確認するために。
・自分が「優先権を侵さない」で入り込める、車両と車両の隙間を見つけるために。
譲れの場合の「優先権を侵さない」を、日本の道交法でいう「優先道路側の進行妨害をしない」と読み替えると、止まれ標識にも本当はこんな意味が隠されているということがわかります。
「譲れ」は「止まれ」よりも緩い規制か?
「譲れ」には、「止まれ」のように一時停止の義務がないことから、なんとなく「止まれ」よりも緩い規制だと思えるかもしれません。ところがそれは大間違いです。
一時停止の義務が無いという意味では、規制そのものは譲れよりも緩いといえそうですが、運転者の意識と行動の面では、より高い意識を持って、より自分に厳しく行動する必要があるのです。
それは、一時停止して他の交通を確認するよりも、自分も移動して交差点に近づく中で、優先側の交通を確認して判断する方が、より注意力が必要で高度な行為だからです。
この意味で、譲れは決して緩い規制ではないのだ、と強調しておきたいとおもいます。
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